副院長の丸山です。当院での診療と並行して、名古屋大学で歯周病の研究を続けています。このたび研究成果が国際的な医学誌に掲載されましたので、どんな研究なのかをご紹介します。
歯周病は「菌のバランス」がくずれる病気
お口の中には数百種類もの細菌がすんでいます。その多くは悪さをしない菌で、むしろお口の環境を守ってくれています。歯周病は、このバランスがくずれ、悪い菌が増えすぎることで起こります。
やっかいなのは、うがい薬や抗菌薬を使うと、悪い菌だけでなく守ってくれている菌まで一緒に減ってしまうことです。一時的に良くなっても、またバランスがくずれて再発する。これが歯周病がくり返す理由のひとつです。
悪い菌だけを狙う
そこで私たちは、歯周病の原因菌のひとつであるP.ジンジバリスという菌だけを狙って減らす方法を研究しました。
使ったのは「抗体」と「光」です。この菌だけにくっつく抗体に、光に反応する物質をつけておきます。そこに、体にやさしい近赤外線という光を当てると、くっついた菌だけがこわれる——という仕組みです。
動物での実験では、歯周病の進行を抑えることができました。しかも、お口を守ってくれている菌は残ったままでした。狙った菌だけを減らし、バランスを整えられたことになります。
この成果は『Journal of Translational Medicine』という国際誌に掲載され、名古屋大学からも発表されました。
研究と、日々の診療のつながり
この技術はまだ研究の段階で、実際の治療として使えるようになるには、これから長い時間がかかります。当院でこの治療を受けていただけるわけではありません。
それでも研究を続けているのは、歯周病という病気の根っこを知りたいからです。なぜ菌のバランスはくずれるのか。どうすれば保てるのか。この問いへの答えは、毎日の診療にそのまま役立ちます。
そして今わかっていることのなかで、いちばん確実にバランスを保つ方法は、実はとてもシンプルです。毎日のていねいな歯みがきと、定期的なクリーニング。この二つに勝るものは、今のところありません。
お口のことで気になることがあれば、検診のついででかまいませんので、どうぞお声がけください。
丸山ファミリー歯科 副院長 丸山 裕